石垣島に地震で津波が来たら？その被害は？防災対策は？

昨日、4月20日の午前10時43分頃に与那国島の近海（南西約80km）を震源地とする地震が発生しました。

与那国島では震度4、石垣市（石垣島）や竹富町でも震度1から3の揺れを観測し、気象庁は高さ1mの津波が発生する恐れがあるとして、宮古／八重山地方に津波注意報を発表しました。

幸いなことに潮位に変化は見られず、約1時間後には津波注意報は解除されました。

しかし、今後1週間は余震の可能性もあるとして、引き続き注意を呼び掛けています。

そんな今だからこそ、石垣島に地震で津波が発生した場合の被害や防災対策についてご紹介します。

石垣島に地震で津波が来たら？

石垣島で津波と言えば、1771年4月24日（明和8年3月10日）の午前8時頃に発生した八重山地震による、明和の大津波が有名です。

この地震の石垣島での震度は4程度と推定されていて、地震の揺れによる被害は一部の建物や石垣が崩れる程度の軽微なものだったとされています。

しかし、この地震によって大津波が発生し、宮古と八重山地方では死者と行方不明者の合計が約12,000人で、家屋の流失が2,000戸以上という大惨事となってしまいました。

石垣島では真栄里や大浜、宮良、白保を含む八村の大部分が流失および全壊し、津波前の人口17,394人が津波後は8,910名と、およそ半数が死亡または行方不明となりました。

「大波之時各村之形行書」（おおなみのときかくむらのなりゆきしょ）によると、この津波の石垣島での最大遡上高は、宮良村で二十八丈二尺（85.4m）に達したと記録にされており、正しければ日本最高の遡上記録となります。

しかし、具体的な位置が示されていないため未だに場所は特定されておらず、疑念や諸説を招く結果となってしまいました。

石垣島の地震による被害は？

八重山地震による津波の被害は、石垣島南部から東部に集中しています。

石垣島南部から南東部の真栄里や大浜、宮良、白保では津波による死亡率が80～90%、北東部でも伊野田で100%、伊原間で90%、安良で95%となっています。

一方で石垣島の北西側海岸での死亡率は数%程度で、犠牲者の大部分は石垣島の南部に出かけていた方々です。

離島の竹富島や西表島、波照間島での犠牲者も同じく石垣島南部に出かけていた方々です。

八重山地震後には八重山地方の人口分布が一変します。

人口の減少は津波後の約100年間も続き、津波による犠牲者が少なかった地域でも人口の減少が起こっています。

特に石垣島の北東部から北部や西表島では人口が急減しています。

被害が少なかった地域での人口減少の原因は、被害が少なかった地域から被害の多かった地域へ強制移住が行われたことや、耕作可能地の多くが塩害の影響を受け、農作物の生産が低迷したことによる飢餓、さらには疫病が挙げられます。

津波発生の翌年の6月頃に、白保村から疫癘（えきれい）の流行が始まり、環境衛生が極度に悪化して伝染病が流行したと推定されています。

石垣島の地震の防災対策は？

ここでは、石垣島でも役立つ地震の防災対策をご紹介します。

①地震の揺れを感じたら早期非難と情報収集
津波には早期非難が最も確実で効果のある対策です。
強い揺れまたは小さくても長時間ゆっくりした揺れを感じたときや、緊急地震速報を見聞きしたときは、直ちに海岸周辺から離れて高台に避難してください。
明治三陸地震では震度3の小さな揺れでしたが、30分後に大津波が襲ってきて2万人以上が犠牲になりました。
例え小さな地震でも油断せず、テレビやラジオで情報収集に努めてください。

②常に最悪の事態を想定して行動する
津波には様々なパターンがあるので、常に最悪の事態を想定して行動してください。
津波は繰り返し来襲し、第一波が最大とは限りません。
北海道南西沖地震では第一波の襲来後に帰宅しようとしたため、第二波、第三波に襲われて犠牲となりました。
いきなり津波が来襲することもあれば、明和の大津波のように潮が引いた後に来襲するケースもあります。

③できるだけ早く高台や高層階へ避難する
石垣島は観光地ということもあり、4階建て以上のホテルが市街地や海岸周辺にたくさんあります。
高台まで避難できそうもない場合は、高層階のホテルを探して4階以上に避難されてもらいましょう。
ほとんどのホテルは24時間出入りが可能で、4階建て以上のホテルは緊急避難所に指定されていることも多いです。

④車は利用せず駆け足で避難する
極力車は利用せず、遠くよりも高くを優先して避難しましょう。
車での移動は渋滞の原因となったり、緊急車両の妨げとなる恐れがあります。
また高齢者や足の不自由な方などは、車でなければ避難できません。
健常者は駆け足で避難して、必要な車が渋滞しないように心掛けてください。

⑤大声を出しながら避難する
特別警報が発表されたら「津波が来るぞ～！早く逃げろ～！」と大声を出しながら駆け足で避難してください。
津波の来ることを知らない人も、誰かが大声を出して逃げると、それにつられて逃げる習性があります。
あなた自身が津波の特別警報になりましょう。

⑥警報が解除されるまでは避難を続ける
一度避難したら、第一波が小さかったとしても帰宅せずに、津波警報が解除されるまでは避難を続けましょう。

まとめ

石垣島では八重山地震による、明和の大津波で多くの犠牲者が出ました。

小さな地震で揺れによる被害は軽微なものでも、津波の襲来は最悪の事態を引き起こす恐れがあります。

地震や津波で「特別警報」が発表されたら、ただちに命を守る行動をとってください。

ここで紹介した防災対策を何度も読み返し、万一の場合に備えましょう！